櫂はふれあい広場の隣室のリビングへと戻っていた。ヨーロッパ某国で開発されたカルボナーラを、おいしいもの満載のとあるアプリからレシピを選び出して料理し今夜の食卓に並べてたまったドラマを観ながら楽しく食べていい夜を過ごすためである。だが、櫂の知らぬ間に、ダース・ハロは初代移動式別荘パンプキンタイプを上回る居住性を持った新型移動基地を密かに移動していた。もし、この新型移動基地がふれあい広場内に設置されれば、そこにあったボールやクッションで遊ぶスペースはなくなり、確実に片付けられてしまうだろう・・・
ラビットランでたびたび登場する基地が移動できることを学習したハロ卿は自身のテリトリーであるふれあい広場を拡張し成長に合わせて快適に過ごせる空間を建造しようと常々考えていた
床部分をクッション性のあるマットに敷きかえてサークルの柵を1枚継ぎ足して広くなったためそれまでとは違う遊び方ができるようになったふれあい広場に新しい別荘である移動式前線基地運び込めることを知りときどきはそこで遊びたいと思い、ついに今日実行に移した
ふれあい広場内に設置されるとかなりの空間を圧迫し極端に運動面積が狭くなるため一度ふれあい広場隣に置かれた
しかしその場所は部屋んぽの最中にしか行けない場所だと知ったハロ卿は…
そこで基地に入ることを躊躇し、その場に設置されることは今後のためにならないと判断した
しばらく経ってもそこから移動されない雰囲気を感じ気が変わりつつあった
しかしここでは落ち着かず覗く程度で終わらせて他に興味をそらしてしまった
ハロ卿の興味が失せそうになると基地の再移動が行われて念願のふれあい広場への設置となった
新築のマイホームを眺めるように満足げな表情で至福のいっときを過ごした
しばらく眺めた後、確かめるようにゆっくりと基地の奥へと進んでいった
ラビットランやふれあい広場内の同じ場所で何度も入っているがその度に新鮮な気持ちになるらしく気軽に入れる場所ではないようだ
同じ場所から動かず不審に思われたハロ卿、ゲートが持ち上げられて状況確認が行なわれた
ひとしきり基地内で遊んだ卿であったがなかなか出てこないため再度状況確認が行なわれた
その時のハロ卿は基地内から顔を見せるが出てくる気配はなく誘っている雰囲気を醸し出していた
ゆっくりと一歩を踏み出してもハロ卿の大半はまだ基地の中、やはりこの中で一緒に遊びたいようだ
その中で自由に活動できるのはハロ卿のみであり誰もともに遊べないことを理解できないハロ卿は切ない眼差しを送るのであった
どうしても中で遊びたいようでハロ卿精一杯のアクションで呼び止めようと努力し
その中で遊べるのはハロ今日だけだという受け入れがたい事実をなんとか飲み込もうとするが納得できず
明らかに拗ねた態度で背を向けてお耳アンテナはほぼ全開で後方をサーチしていることが知られていることにも気づかず寂しそうに基地に入っていくのであった
世間は今師走と呼ばれる時期、皆忙しくして都合がつかないのです、ここはひとつパパイヤを食べてゆるりと休まれてくださいな、ハロ卿